
今回は『入母屋屋根(いりおもややね)』についてのお話です。
■入母屋屋根とは?
『入母屋屋根(いりおもややね)』は、『寄棟屋根』の上に、『切妻屋根』がのせられたような形の屋根です。
基本の形は『寄棟屋根』に似ています。
2つの屋根の特徴が合わさることにより、格式が高い印象を出すことができるため、お寺(寺院)ではこの形が使われていることも多いです。
また、田舎でも非常によく見かける屋根の形状でもあります。
■入母屋屋根のメリット
まずメリットとして、どっしりとした風格と安定感があります。
構造もしっかりとしているため、多少の雨風ではびくともしません。
雨仕舞がしっかりできるので、降雨による劣化を遅らせることができ、耐風性もあるため、あらゆる方角からの強風にも動じません。
また、断熱性も高いため屋内の居住空間を快適に保ってくれます。
日本の景観にマッチしており、瓦の美しさが際立つ屋根形状でもあります。
瓦の並びに動きが出て、見飽きることがありません。
長い年月をかけて同化してきた強みと言えますね。
『切妻屋根』の長所である換気性の良さを取り入れているので、お家の耐久性を高めることのできる屋根形状となっています。
『寄棟屋根』の安定感を取り入れつつ、換気が悪いというその弱点を、うまく補っています。
■入母屋屋根のデメリット
『入母屋屋根』は『寄棟屋根』と『切妻屋根』の長所を取り、良いことだらけだと思いますが、その分もちろんコストはかかってしまいます。
入母屋屋根を扱える大工や瓦職人が減ってしまったため、確保するための単価も高くなり、材料費も高くなってしまいます。
工期も長くなるため、人件費もかかってしまいます。
メンテナンスやリフォームでも同じことが言えるので、費用に余裕がなければ入母屋屋根は手が出しにくいオプションと言えるでしょう。
構造が複雑なため、老朽化による雨漏りの心配も挙げられます。
綿密な設計と施工が肝心で、大工や職人の腕が問われます。
業者選びをしっかりとすることが大切です。
また、2つの屋根を合わせた『入母屋屋根』の重さは相当なものになるので、耐震性に少し不安があります。
地震の揺れは、屋根の重さに応じて大きくなるので、建物自体の強度がないと屋根を支え切れません。
対策としては、重い屋根を支えるだけの強さを建物自体に持たせることと、もう1つは金属屋根を設置することです。
瓦にそれほどこだわりがないのであれば、ガルバリウム鋼板に変更することにより軽くなります。
以上が『入母屋屋根』の紹介でした。
次回は『陸屋根』について紹介したいと思います。
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